VPNで通信速度は変わる？おうちのネット環境を快適に保つヒント
はじめに：VPNを使うとネットが遅くなるって本当？
インターネットをもっと安心して使うために、VPN（仮想プライベートネットワーク）というものがあると知って、気になっている方もいらっしゃるかもしれません。前の記事でも、VPNを使うことで、ご家庭のインターネット利用がどう変わるのか、安心できるのかについてお話ししました。
でも、「VPNを使うとインターネットが遅くなるって聞いたことがあるんだけど、大丈夫なの？」と心配になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。特に、家族みんなで動画を見たり、オンラインで調べ物をしたりと、日常的にインターネットを使っていると、速度が遅くなるのは困りますよね。
この記事では、なぜVPNを使うと通信速度が変わることがあるのか、そして、速度を気にせず快適にVPNを使うためにはどうすれば良いのかについて、初心者の方にも分かりやすくご説明します。
なぜVPNを使うと通信速度が変わることがあるの？
インターネットを使うとき、通常は皆さんのパソコンやスマートフォンから、見たいウェブサイトやサービスに直接データがやり取りされます。
VPNを使う場合は、データの通り道が少し変わります。皆さんのデータは一度VPNのサーバーという別の場所を経由してから、目的のウェブサイトなどに送られるのです。また、VPNは皆さんの大切なデータを「暗号化」して、誰かに見られないようにする役割も持っています。
例えるなら、
- VPNなし: ポストに手紙をそのまま入れるイメージです。
- VPNあり: 手紙を丈夫な封筒に入れて（暗号化）、一度信頼できる転送サービス（VPNサーバー）に預けてから、相手に届けてもらうイメージです。
この「別の場所を経由する」ことや「データを暗号化する」という作業に、少し時間がかかることがあります。これが、VPNを使うと通信速度が遅く感じられることがある主な理由なのです。
ただし、これはVPNの仕組み上、避けられないことではありません。VPNサービスの種類や、利用環境によって速度への影響は大きく変わります。
どんなときに速度が遅くなりやすいの？
VPNを使った時に速度が遅く感じやすいのは、たとえば次のような場合です。
- 遠い場所にあるVPNサーバーを使うとき: 例えば、日本のご自宅からアメリカにあるVPNサーバーを経由してインターネットを使う場合など、物理的な距離が遠いほど、データのやり取りに時間がかかることがあります。
- VPNサーバーが混雑しているとき: 一つのVPNサーバーをたくさんの人が同時に使っている場合、サーバーの処理能力が追いつかずに速度が遅くなることがあります。
- 高性能な暗号化を使うとき: データをとてもしっかりと隠す（強力に暗号化する）ほど、その処理にパソコンやサーバーの力が必要になり、速度に影響が出ることがあります。
- お使いのインターネット回線が遅い場合: もともとご自宅のインターネット回線があまり速くない場合、VPNを経由することでさらに速度が遅く感じやすくなります。
特に、高画質の動画を見たり、大きなファイルをダウンロードしたりするような、たくさんのデータを使う時には、速度の変化を感じやすいかもしれません。
快適にVPNを使うためのヒント
「やっぱりVPNを使うと遅くなるなら心配…」と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、ご安心ください。少しの工夫で、速度を気にせず快適にVPNを使うための方法があります。
1. 接続するVPNサーバーを変えてみる
先ほどお話ししたように、サーバーの場所や混雑具合は速度に影響します。もしインターネットが遅いと感じたら、別の場所にあるサーバーや、比較的空いているサーバーに接続し直してみてください。多くのVPNサービスでは、接続するサーバーを簡単に選ぶことができます。まずは、お住まいの国や地域に近いサーバーを選んでみるのがおすすめです。
2. VPNの接続方法（プロトコル）を変えてみる
VPNには、いくつかの「通信のルール」（これを「プロトコル」と呼びます）があります。プロトコルによって、データの暗号化の強さや、通信の方法が少しずつ違います。一般的に、暗号化が強いものほど安全性は高いですが、速度が遅くなる傾向があります。
多くのVPNサービスでは、このプロトコルをいくつかの中から選べるようになっています。もし速度を改善したい場合は、設定画面でプロトコルを別のものに変更してみるのも一つの方法です。（※どのプロトコルが良いかは、お使いのサービスや環境によって異なりますので、サービスのヘルプなどを参考にしてみてください。最初は「自動」設定のままで問題ありません。）
3. デバイスやルーターを再起動してみる
パソコンやスマートフォン、そしてご自宅のWi-Fiルーターも、長時間使い続けていると調子が悪くなることがあります。一度、使っているデバイスとWi-Fiルーターの電源を切って、しばらく待ってから再び電源を入れてみてください。これでインターネット全体の速度が改善されることもあります。
4. 信頼できるVPNサービスを選ぶ
VPNサービスの中には、通信速度の安定性や速さを重視しているものもあります。たくさんの利用者がいても速度が落ちにくいように、たくさんの高性能なサーバーを用意しているサービスや、速度低下を最小限にするための技術を使っているサービスを選ぶことも大切です。
「どんなVPNサービスを選べば良いの？」という疑問については、別の記事でも詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
まとめ：速度の心配を減らして、安心なネット生活を
VPNを使うことで、大切な個人情報を守ったり、ご家族のインターネット利用をより安全にしたりすることができます。通信速度が少し変わることがあっても、それはVPNが皆さんのデータをしっかりと守ってくれている証拠でもあります。
もし「ネットが遅くなったかな？」と感じたら、まずは接続するサーバーを変えてみるなど、いくつかの簡単な方法を試してみてください。そして、普段から速度が安定している、信頼できるVPNサービスを選ぶことも、快適に使い続けるための大切なポイントです。
速度の心配を減らして、VPNを使った安心なインターネット生活を始めてみましょう。