公共Wi-Fiだけでなく、自宅のインターネットも。VPNが家庭の安全を守る理由と方法
はじめに
インターネットは私たちの暮らしに欠かせないものとなりました。お買い物をしたり、調べものをしたり、ご家族や友人との連絡に使ったりと、毎日たくさん利用されていることと思います。
ところで、インターネットを使うとき、「自分の見ているものや送っている情報が、誰かに見られていないかな?」と、ふと不安を感じることはありませんか?特に、お子様がインターネットを使うようになり、様々な情報に触れる機会が増えると、ご家庭でのインターネットの安全について考える方もいらっしゃるかもしれません。
「公共の場で使うWi-Fiは危ないって聞くけれど、自宅のインターネットは大丈夫でしょう?」そう思われるかもしれません。もちろん、ご自宅のインターネットは、カフェや駅などで使う公共のWi-Fiに比べれば安全性が高いと言えます。しかし、残念ながら自宅だからといって、すべての危険がないわけではありません。
この記事では、ご家庭のインターネットにも潜む「見えない危険」について、そしてVPN(Virtual Private Network)というものが、そうした危険から大切なご家族や情報をどのように守ってくれるのかを、分かりやすくご説明します。難しい専門知識は必要ありません。安心してインターネットを使うための一歩として、ぜひ読み進めてみてください。
自宅のインターネットにも潜む「見えない危険」とは?
自宅のインターネットは、一般的にご契約者だけが使えるWi-Fiルーターなどによって守られています。しかし、それでも以下のような「見えない危険」に注意が必要です。
- 通信内容が覗き見られる可能性 あなたがインターネットでどんなウェブサイトを見ているか、どんな情報を入力しているかといった通信の内容は、本来はインターネットの通り道で「見られてしまう」可能性があります。特に、自宅のWi-Fiに不正にアクセスされたり、利用しているインターネットサービス自体に問題があったりする場合、大切な情報が漏れてしまうリスクもゼロではありません。
- 個人情報や利用履歴が収集される可能性 インターネットを使っていると、あなたが「どこから」アクセスしているか(IPアドレスというインターネット上の住所のようなものです)や、どんなことに興味があるかといった情報が、様々な方法で収集されていることがあります。これらの情報が、知らないうちに誰かに利用されたり、悪用されたりする危険性も考えられます。
- 悪意のあるサイトや偽のサイトに誘導される危険 メールやメッセージ、広告などをきっかけに、偽物のウェブサイトに誘導されて個人情報やクレジットカード情報を入力させられる「フィッシング詐欺」のような被害も後を絶ちません。お子様が誤ってこうしたサイトにアクセスしてしまうことも心配です。
こうした危険は、特別なことではなく、インターネットを使う上で常に起こりうる可能性があるものです。特にご家族、そしてお子様の安全を守るためには、できる限りの対策をしておくことが大切になります。
VPNが自宅のインターネットをどう守るのか
そこで役に立つのがVPNです。VPNは、あなたのインターネット通信を特別な「トンネル」に通すようなイメージで考えてみてください。
- 通信を暗号化する VPNを使うと、あなたのパソコンやスマートフォンからインターネットへ送られるデータが、複雑なカギ(暗号)で守られます。この暗号化されたデータは、VPNのトンネルを通る間、たとえ途中で誰かに見られてしまっても、中身を簡単に知ることはできません。例えるなら、大切な手紙を頑丈な鍵付きの箱に入れて送るようなものです。
- インターネット上の住所(IPアドレス)を隠す あなたがインターネットに接続すると、必ず「IPアドレス」というインターネット上の住所のようなものが割り当てられます。通常、このIPアドレスから、あなたが「どこから」インターネットにアクセスしているのかがある程度分かってしまいます。しかし、VPNを使うと、あなたの本来のIPアドレスの代わりに、VPNサービスが用意した別のIPアドレスでインターネットに接続したことになります。これにより、あなたの本当の場所や利用しているインターネット回線が特定されにくくなります。
このように、VPNは「通信の暗号化」と「IPアドレスを隠すこと」によって、ご家庭のインターネット利用における様々な危険からあなたとご家族を守る手助けをしてくれます。
- 覗き見のリスクを減らす: 通信が暗号化されるため、たとえ自宅のWi-Fiに誰かが不正に侵入したとしても、あなたの通信内容を簡単に知ることはできません。
- プライバシーを守る: IPアドレスが隠れることで、あなたのインターネット上での行動が「誰が」「どこから」行っているのか追跡されにくくなります。ウェブサイトの閲覧履歴や検索履歴などが、不必要にあなたと結びつけられてしまうリスクを減らすことができます。
- 情報漏洩の可能性を低減: オンラインサービスを利用する際など、もし通信経路に脆弱性があったとしても、VPNによる暗号化が情報を守る層となります。フィッシング詐欺サイトへのアクセスそのものを直接防ぐわけではありませんが、万が一の場合の情報漏洩リスクを低く保つことに繋がります。
このように、VPNは公共Wi-Fiを利用する時だけでなく、ご自宅でインターネットを利用する際にも、大切なご家族の安心を守るためにとても役立つものなのです。
家庭でVPNを導入する具体的なステップ
「VPNが必要なのは分かったけれど、設定は難しそう…」そう心配される必要はありません。多くのVPNサービスは、初心者の方でも簡単に使えるように設計されています。一般的な導入ステップは以下の通りです。
- 信頼できるVPNサービスを選ぶ: まずは、安心して利用できるVPNサービスを選びます。サービスの選び方については、当サイトの別の記事でも詳しく解説していますので、そちらも参考にしてみてください。利用料金がかかるサービスが多いですが、無料のサービスよりもセキュリティやプライバシー保護の面で安心できる場合がほとんどです。
- サービスに申し込む: 選んだサービスのウェブサイトから申し込みを行います。月額払いや年額払いのプランがあり、支払い方法もクレジットカードなど様々です。
- 専用のアプリをダウンロードする: 契約が完了すると、あなたの使いたいデバイス(パソコン、スマートフォン、タブレットなど)にインストールするための専用アプリがダウンロードできるようになります。サービスのウェブサイトに、ダウンロードボタンや手順が分かりやすく説明されているはずです。
- アプリをインストールしてログインする: ダウンロードしたファイルをダブルクリックするなどして、アプリをインストールします。インストールが終わったら、サービスに申し込んだ際に作成したユーザー名とパスワードでアプリにログインします。
- VPNに接続する: アプリを開くと、「接続」ボタンや、接続したい国を選ぶ画面が表示されます。特別な理由がなければ、自動的に最適な場所を選んでくれる設定や、一番近い場所を選ぶと良いでしょう。「接続」ボタンを押せば、すぐにVPNを使った安全なインターネット接続が開始されます。
これで、あなたのインターネット通信はVPNによって守られた状態になりました。もしご家族が複数のデバイスを使っている場合でも、多くのVPNサービスは一つの契約でいくつかのデバイスまで同時に接続できます。お子様のスマートフォンやタブレットにも、同じ手順でアプリを入れて設定してあげると安心です。
VPNを使う上での補足と注意点
VPNは非常に便利なツールですが、いくつか知っておいていただきたいこともあります。
- VPNだけでは万全ではない: VPNはインターネット通信を暗号化し、プライバシーを守るのに役立ちますが、それだけでインターネット上のすべての危険(例えば、ウイルス感染や詐欺サイトそのもの)を防げるわけではありません。お使いのデバイスには、引き続き信頼できるウイルス対策ソフトを入れて最新の状態にしておくことや、怪しいメールやウェブサイトには注意するといった基本的な対策も合わせて行うことが大切です。
- 通信速度が変わることも: VPNを経由してインターネットに接続するため、場合によっては通常の接続よりも通信速度が少し遅くなることがあります。もし遅いと感じる場合は、VPNアプリの設定で接続する場所(サーバー)を変えてみると改善することがあります。
- 利用規約を確認する: 利用するVPNサービスやインターネット回線の利用規約によっては、VPNの利用に制限がある場合があります。一般的な利用においては問題ないことがほとんどですが、気になる場合は確認しておくと安心です。
まとめ
公共Wi-Fiでの利用はもちろん、ご家庭でのインターネット利用においても、VPNはあなたのプライバシーを守り、通信の安全性を高めるための心強い味方となります。特に、ご家族がインターネットを使う機会が多いご家庭では、お子様を含むみんなが安心してインターネットを楽しむために、VPNの導入を検討してみる価値は大きいと言えるでしょう。
「見えない危険」について聞くと、不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、VPNのようなツールを上手に活用することで、必要以上に心配することなく、インターネットの便利さを安全に享受することができます。
VPNの設定は、決して難しいものではありません。この記事でご紹介したステップを参考に、まずは信頼できるサービスを選んで、試してみてはいかがでしょうか。インターネットを安心して使うための第一歩を、ここから始めてみましょう。