あなたがインターネットで見ているもの、誰かに見られていませんか?VPNでプライベートな空間を守る方法
はじめに:インターネットの「見られている」不安
インターネットは私たちの暮らしをとても便利にしてくれるものですが、少し立ち止まって考えてみてください。あなたがインターネットでどんなサイトを見ているか、何を検索しているか、どんな情報を入力しているか…。そういった行動は、本当に誰にも見られていないのでしょうか?
実は、私たちが思っている以上に、インターネット上での行動は様々な場所で見られる可能性があります。特に、セキュリティ対策が十分でない環境では、あなたのプライベートな情報が筒抜けになってしまう危険も潜んでいます。
この記事では、あなたがインターネットで「何を見ているか」がなぜ見られる可能性があるのか、そして、大切なプライベートな空間を守るために、VPNというものがどのように役立つのかを、初心者の方にも分かりやすくお伝えします。
インターネットで「見られている」とは、どういうこと?
インターネットを使うとき、私たちは文字や画像、動画などの情報をやり取りしています。この情報の通り道は、皆さんが思っているよりもオープンな場所になることがあります。
例えば、カフェや駅、商業施設などにある「公共Wi-Fi」を使った経験はありませんか?公共Wi-Fiは便利ですが、残念ながらセキュリティ対策が不十分なものも多く存在します。このようなWi-Fiを使うと、同じWi-Fiを使っている悪意のある第三者に、あなたのインターネット通信の内容を盗み見されてしまう危険があるのです。
具体的には、 * あなたがどんなウェブサイトを見ているか * 検索窓にどんな言葉を入力したか * オンラインショップでどんな商品を見たか * SNSでどんな投稿を見たか * パスワードやクレジットカード情報などの入力情報(※ただし、最近の安全なウェブサイトではこれらの情報は暗号化されていることが多いです)
といった情報が、第三者に見えてしまう可能性があります。まるで、透明なホースの中を通る水のように、通信の内容が丸見えになってしまうイメージです。
また、自宅のインターネットでも、あなたが契約しているインターネット提供者(プロバイダ)は、あなたが「いつ」「どんなウェブサイトに接続したか」といった情報を技術的に把握することができます。これらの情報が、全く意図しない形で利用される可能性もゼロではありません。
自分の検索履歴や閲覧サイトを知られたくない。大切な個人情報が漏れてしまうのは怖い。そう感じるのは、ごく自然な不安です。では、どうすれば、インターネット上でのプライベートな空間を守ることができるのでしょうか。
VPNがあなたのインターネットをどう守るのか
そこで登場するのが「VPN」です。VPNは「Virtual Private Network(バーチャル プライベート ネットワーク)」の略で、日本語では「仮想プライベートネットワーク」と呼ばれます。少し難しい言葉ですが、その役割はとてもシンプルです。
VPNを使うと、あなたのスマートフォンやパソコンからインターネットの出口までの間に、「専用のトンネル」を作るイメージです。
※これはイメージ図です。実際の表示とは異なります。
このトンネルの中を通るデータは、「暗号化(あんごうか)」という特殊な技術によって、他の人には全く読めないように変換されます。もし、公共Wi-Fiなどで第三者があなたの通信を覗き見ようとしても、トンネルの中は暗号で守られているため、意味不明な数字や記号の羅列にしか見えず、内容を知ることができません。
つまり、VPNのトンネルを通ることで、 * あなたがどのウェブサイトを見たか * どんな情報を送受信しているか
といったインターネット上での行動を、インターネット提供者やWi-Fiの提供者、そして悪意のある第三者から隠すことができるのです。まるで、人に見られたくない大切な手紙を、誰にも破られない丈夫な封筒に入れて郵送するようなものだと考えてください。
また、VPNを使うと、あなたのいる場所を示す「IPアドレス」という情報も、VPNサーバーのものに変わります。これにより、あなたが実際にどこからインターネットに接続しているのかが分かりにくくなり、プライバシー保護につながります。
VPNは、あなたがインターネット上で安心して、誰にも邪魔されずに自分の見たいものを見たり、情報をやり取りしたりするための、「プライベートな空間」を作り出すお手伝いをしてくれるのです。
VPNでプライベートな空間を守るための具体的なステップ
「VPNって難しそう…」と感じるかもしれませんが、実際にVPNを使い始めるのは、意外と簡単です。ここでは、VPNを使ってあなたのインターネット環境に「プライベートな空間」を作るための、一般的なステップをご紹介します。
(※ここでは一般的な手順をご説明します。ご利用になるVPNサービスによって、画面の表示や手順の詳細は少し異なりますので、サービスのマニュアルも合わせてご確認ください。)
- VPNサービスを選ぶ
- インターネット上には様々なVPNサービスがあります。信頼できる、セキュリティ対策がしっかりしているサービスを選びましょう。料金プランも様々なので、ご自身の使い方に合ったものを選んでみてください。
- 「【迷ったらこれ】初心者でもわかる!安全なVPNサービスの選び方」の記事も参考にしてみてください。
- サービスに申し込む・契約する
- 選んだVPNサービスのウェブサイトにアクセスし、利用したいプランを選んで申し込みます。メールアドレスの登録や支払い情報の入力などが必要です。
- VPNアプリをダウンロードしてインストールする
- 契約が完了したら、利用するデバイス(パソコン、スマートフォン、タブレットなど)に合わせた専用のVPNアプリをダウンロードします。
- ダウンロードしたファイルをダブルクリックしたり、アプリストアからアプリを検索したりして、画面の指示に従ってインストールを行います。
- アプリを起動してログインする
- インストールしたVPNアプリを起動します。
- サービスの申し込み時に設定したユーザー名やパスワードを使ってログインします。
- VPNに接続する
- アプリの画面に表示される「接続」「ONにする」といったボタンをクリック(タップ)します。
- これで、あなたのインターネット通信がVPNのトンネルを通るようになります。通常は、特別な設定は不要で、ボタン一つで完了します。
- インターネットを利用する
- VPNに接続された状態で、いつも通りインターネットを利用してください。ウェブサイトの閲覧、メールの確認、SNSの利用などが、VPNによって保護された状態で行えます。
VPNが必要なくなったら、アプリの「切断」「OFFにする」といったボタンをクリック(タップ)すれば、通常のインターネット接続に戻ります。
このように、一度設定してしまえば、VPNの利用開始・停止はとても手軽に行えるサービスが多いです。
VPNを使う上でのヒントと注意点
VPNはあなたのプライベートを守る強力なツールですが、いくつか知っておくと良いヒントと注意点があります。
- どんな時に使うのがおすすめ?
- 特にセキュリティが不安な公共Wi-Fiを使うときには、必ずVPNをONにすることをおすすめします。
- 自宅のインターネットでも、プライバシーを重視したい場合や、誰にも知られずにウェブサイトを閲覧したい場合などに有効です。
- 完全に匿名になるわけではない
- VPNを使っても、あなたがオンラインサービス(例えばSNSや特定のウェブサイト)にログインすれば、そのサービスにはあなたが誰であるかは分かります。VPNはあくまで「インターネットの通り道」を保護するものだと理解しておきましょう。
- 通信速度が遅くなることも
- VPNを使うと、通信が暗号化されたり、一度VPNサーバーを経由したりするため、通常のインターネットよりも速度が少し遅く感じられることがあります。
これらの点を理解して、ご自身の使い方に合わせてVPNを活用してみてください。
まとめ:安心なインターネット利用への一歩として
インターネットは私たちの生活に欠かせないものになりましたが、同時にプライバシーを守るための意識も大切になっています。あなたがインターネットで「何を見ているか」は、意外な場所で見られている可能性があります。
VPNは、インターネット通信を暗号化して「専用のトンネル」を通すことで、そうした覗き見や追跡からあなたのプライベートな空間を守るための、とても有効な手段です。設定も思ったほど難しくありませんので、家庭でのインターネット利用や、外出先での公共Wi-Fi利用に不安を感じている方は、ぜひVPNの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
VPNを上手に活用して、ご家族皆さんが安心してインターネットを利用できる環境を整えましょう。それが、安全なネット生活への大切な一歩となります。