あなたのインターネット利用は『追跡』されているかも?VPNがプライバシーを守る仕組みを解説します
はじめに:インターネット利用で見えない『追跡』とは?
インターネットは私たちの生活に欠かせないものとなりました。お買い物をしたり、調べ物をしたり、ご家族と連絡を取り合ったり、お子様が学習に使ったりと、様々な場面で活用されていることと思います。
その一方で、「インターネットを使っていると、誰かに見られているんじゃないか」「調べたことや自分の情報がどこかに筒抜けになっているのでは」と、なんとなく不安を感じたことはありませんか。
私たちがインターネットを利用する際、実は様々な情報がやり取りされ、時には私たちの行動が『追跡』されていることがあります。これは特別なことをした場合だけでなく、普段のウェブサイト閲覧やアプリの利用でも起こりうるものです。
この『追跡』は、個人情報やプライバシーに関わる大切な情報を知られてしまう可能性につながります。特に、お子様がインターネットを使う機会が増えたり、ご自宅でインターネットを通じて重要な手続き(ネットバンキングやオンラインショッピングなど)をすることがある方にとっては、見過ごせない点かもしれません。
では、インターネットの『追跡』とは具体的にどのようなものなのでしょうか。そして、どのように対策すれば、より安心してインターネットを使えるようになるのでしょうか。ここでは、VPNがどのように役立つのかを、分かりやすく解説します。
インターネットの『追跡』ってどんなこと?
私たちがインターネットを利用すると、実は様々な形で『足跡』が残ります。例えば、
- どのウェブサイトを訪問したか
- サイト内でどんなページを見たか、何を検索したか
- どこからインターネットに接続しているか(大まかな場所)
- どんなデバイスを使っているか
といった情報です。これらの情報は、ウェブサイトの運営者や、インターネット広告を配信する会社など、様々なところによって集められることがあります。
なぜこのような情報が集められるかというと、多くは「よりあなたに合った情報や広告を表示するため」です。例えば、あなたが興味のある商品を検索したら、その後に関連する広告をよく見かけるようになった、といった経験はありませんか。これは、あなたのインターネットでの行動が追跡され、その情報に基づいて表示されているからなのです。
しかし、これらの情報が集められすぎたり、予期せぬ形で第三者に渡ってしまったりすると、あなたのプライバシーに関わる問題につながる可能性があります。ご家族のインターネット利用状況が詳しく知られてしまったり、大切な個人情報が漏れてしまったりするのでは、と心配になる方もいらっしゃるでしょう。
VPNがインターネットの『追跡』からプライバシーを守る仕組み
こうしたインターネットの『追跡』からプライバシーを守るために、VPNがどのように役立つのでしょうか。
VPNは「Virtual Private Network(バーチャル プライベート ネットワーク)」の略で、インターネット上にあなたのための「仮想的な専用通路(トンネルのようなもの)」を作るような働きをします。
通常、あなたがインターネットに接続してウェブサイトを見たり情報を送受信したりする時、その通信はインターネットサービスプロバイダ(プロバイダさん)などを経由して、様々な場所を通っていきます。この時、あなたの「インターネット上の住所」にあたるIPアドレスという情報が、通信と一緒に送られます。このIPアドレスやその他の情報から、あなたの「どこから」インターネットにアクセスしているかや、どんな通信をしているかが分かる場合があります。これが追跡のきっかけの一つとなるのです。
VPNを使うと、あなたの通信はまずVPNサーバーという場所を経由するようになります。そして、あなたのデバイスからVPNサーバーまでの通信は、「暗号化(あんごうか)」という特別な方法で保護されます。暗号化されると、もし途中で誰かに通信を見られても、中身が解読できないようになります。ちょうど、大切な手紙に鍵をかけて金庫で送るようなイメージです。
さらに、あなたがアクセスしたいウェブサイトやインターネット上のサービスには、あなたの本来のIPアドレスではなく、VPNサーバーのIPアドレスを使って接続するようになります。
VPNを使うことで、このような効果が期待できます。
- あなたのインターネット上の住所(IPアドレス)が隠れる: アクセス先のウェブサイトなどからは、あなたの本来のIPアドレスではなくVPNサーバーのIPアドレスが見えます。これにより、「どこから」インターネットに接続しているか、という情報からあなたを特定しにくくなります。
- 通信内容が暗号化される: あなたのデバイスとVPNサーバー間の通信が暗号化されるため、もし途中で第三者(例えば、同じ公共Wi-Fiを使っている人など)に通信を傍受されても、送受信している情報の中身を見られる心配が減ります。ウェブサイトへの入力情報や、送受信するデータなどが保護されます。
このように、VPNはあなたのインターネット上の「どこから」という情報を隠し、通信内容を保護することで、インターネットの『追跡』を難しくし、プライバシーを守る手助けをしてくれるのです。
追跡対策のためのVPN利用のポイント
VPNを使ってインターネットの追跡からプライバシーを守るためには、いくつかのポイントがあります。
- インターネット利用時はできるだけVPNをオンにする: ご自宅のインターネットはもちろん、カフェや駅などの公共Wi-Fiを利用する際にも、VPNをオンにすることを習慣にしましょう。これにより、あなたの通信がVPNによって保護された状態になります。
- 信頼できるVPNサービスを選ぶ: 数多くのVPNサービスがありますが、プライバシー保護を重視するなら、信頼できる提供元を選ぶことが大切です。サービスのプライバシーポリシー(どのような情報を収集し、どう扱うか)を確認すると良いでしょう。(VPNサービスの選び方については、別の記事で詳しく解説していますので、そちらも参考にしてみてください。)
- VPNだけが全てではないことを理解する: VPNはIPアドレスを隠したり通信を暗号化したりする強力なツールですが、インターネット上のすべての追跡を防げるわけではありません。例えば、ウェブサイトが表示を早くするために使うCookie(クッキー)という仕組みや、GoogleやSNSなど特定のサービスにログインした状態での利用履歴は、VPNを使ってもそのサービス内で紐づけられることがあります。VPNはあくまでプライバシー保護のための有効な対策の一つとして捉えましょう。
まとめ:VPNで、ご家族みんなのプライバシーを守る第一歩を
インターネットの利用が広がるにつれて、『追跡』によって大切なプライバシーに関わる情報が知られてしまうリスクも増えています。ご自身の情報はもちろん、お子様を含めたご家族のインターネット利用における安心を守ることは、とても大切なことになっています。
VPNは、あなたのインターネット上の居場所を隠し、通信内容を保護することで、このような追跡からプライバシーを守るための有効な手段です。難しい操作は必要なく、一度設定すれば、ワンクリックでオン・オフを切り替えて使えるサービスがほとんどです。
「はじめてのVPN」では、VPNの仕組みから具体的な設定方法、利用方法までを分かりやすく解説しています。もし、インターネットのプライバシーについて不安を感じているのであれば、VPNの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
VPNを使い始めることは、ご家族みんなが安心してインターネットを利用するための、大きな第一歩になるはずです。