家庭のインターネット利用を安全に:VPNは危険なサイトをどう防ぐ?
はじめに
ご家庭でインターネットをご利用の際、お子さまが使われる機会も増え、どのようなサイトを見ているのか、危険な目に遭わないか、ご心配になることもあるかもしれません。インターネット上には、ウイルスに感染させようとするサイトや、個人情報をだまし取ろうとするサイト、不適切な情報が含まれるサイトなど、様々な「危険なサイト」が存在します。
これらの危険から大切なご家族やご自身の情報を守るために、どのような対策ができるのでしょうか。今回は、VPNがこれらの「危険なサイト」に対して、どのように役立つのかを解説します。VPNだけで全てを防げるわけではありませんが、インターネットの安全性を高めるための一つの有効な手段として、ぜひ参考にしてください。
インターネットに潜む「危険なサイト」とは?
インターネット上の「危険なサイト」と一口に言っても、いくつかの種類があります。
- ウイルス感染サイト: アクセスするだけで、または知らずに何かをダウンロードすることで、お使いのパソコンやスマートフォンがウイルスに感染してしまう可能性があります。
- フィッシングサイト: 有名な企業のウェブサイトそっくりに作られており、「ログインしてください」などと偽って、IDやパスワード、クレジットカード情報などの個人情報をだまし取ろうとします。
- 詐欺サイト: 商品代金を支払ったのに商品が届かない、ありえないほど安い価格で誘い込むなど、金銭的な被害をもたらすサイトです。
- 不適切な情報を含むサイト: お子さまにとって有害な情報や、暴力的な内容を含むサイトなどです。
これらのサイトにうっかりアクセスしてしまったり、だまされて情報を入力してしまったりすると、様々な被害につながる恐れがあります。
VPNは「危険なサイト」自体を直接ブロックするわけではありません
まず大切な点として、VPNはインターネット上の特定のサイトが「危険かどうか」を判断して、そのサイトへのアクセスを直接ブロックしたり、ウイルスを取り除いたりする機能ではありません。これは、例えるなら「交通安全のルールを守る」ことと「信号機や一時停止の標識そのもの」が違うようなものです。VPNは、あなたがインターネットを使う際の「通信の安全性を高める」ための仕組みです。
では、VPNは危険なサイトに対して、どのように役立つのでしょうか。
VPNが危険なサイトに対して間接的に役立つ仕組み
VPNは、インターネット上の通信を「暗号化」し、あなたの「IPアドレス」を隠すことで、安全性を高めます。これが、危険なサイトへの対策としても間接的に有効に働く場合があります。
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通信が覗き見られにくくなる(暗号化)
- VPNを使うと、あなたのデバイスとVPNサーバーの間が「トンネル」でつながったように、通信内容が暗号化されます。
- もし、万が一危険なサイトにアクセスしてしまい、そこで誤って個人情報などを入力してしまった場合でも(本来は入力しないのが最も安全ですが)、その情報がインターネット上を流れる際に、第三者から覗き見られて盗まれるリスクを減らすことができます。
- これは特に、セキュリティが十分ではない公共のWi-Fiなどを使った場合に効果的です。
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あなたの居場所が分かりにくくなる(IPアドレスを隠す)
- インターネット上のウェブサイトは、あなたがどこからアクセスしているのかを「IPアドレス」というインターネット上の住所のような情報で知ることができます。
- VPNを使うと、アクセス元のIPアドレスはあなたの家のIPアドレスではなく、VPNサーバーのIPアドレスになります。
- これにより、サイトの運営者や第三者から、あなたが「どこの誰」としてアクセスしているのかを特定されにくくなります。悪意のあるサイト運営者が、アクセス元情報を元に何かを仕掛けようとするようなケースに対して、ある程度の牽制やリスク低減につながる可能性があります。
このように、VPNは危険なサイトそのものを判断したり、サイトにあるウイルスを除去したりする機能ではありませんが、危険なサイトに「アクセスしてしまった後」や「アクセスする過程」で、あなたの情報が漏れたり、追跡されたりするリスクを減らすことに役立ちます。
VPNだけではなく、他の安全対策も組み合わせましょう
VPNはインターネットの安全性を高める強力なツールですが、危険なサイトから完全に身を守るためには、VPNだけでは不十分です。他の対策と組み合わせて使うことがとても大切です。
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セキュリティソフトを使う:
- ウイルス対策ソフトやインターネットセキュリティソフトは、危険なウェブサイトへのアクセスを検知して警告したり、ダウンロードしたファイルにウイルスが含まれていないかチェックしたりする機能を持っています。VPNが通信を守るのに対し、セキュリティソフトはデバイスやファイル、そしてアクセス先の安全性を直接チェックする役割があります。
- 特に、お子さまがインターネットを使うデバイスには、信頼できるセキュリティソフトを必ずインストールし、常に最新の状態に保つようにしましょう。
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不審なリンクやメールに注意する:
- 怪しいメールに記載されたURLをクリックしたり、見慣れないウェブサイト上で安易に個人情報を入力したりしないようにしましょう。正規のウェブサイトかどうかをよく確認することが重要です。
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OSやアプリを最新の状態に保つ:
- お使いのパソコンやスマートフォンの基本ソフト(OS)や、ウェブサイトを見るブラウザのアプリなどは、常に最新の状態にアップデートしておきましょう。これにより、セキュリティの弱点が修正され、安全性が高まります。
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フィルタリングサービスを活用する:
- インターネットサービスプロバイダー(契約しているインターネット会社)や、一部のセキュリティソフト、またはルーターには、特定の種類のサイト(アダルトサイトや暴力的なサイトなど)へのアクセスを制限する「フィルタリング機能」があります。特にお子さまの利用には有効な対策となります。
VPNは、これらの対策と組み合わせることで、ご家庭のインターネット環境をより多層的に、より安全にすることができます。
まとめ
インターネット上の「危険なサイト」は、誰もが遭遇する可能性のあるリスクです。VPNは、これらのサイト自体をブロックする機能はありませんが、通信を暗号化し、IPアドレスを隠すことで、情報漏洩や追跡のリスクを減らし、結果としてインターネット利用の安全性を高める助けとなります。
VPNを導入されたら、それを「オン」にしてインターネットを使う習慣をつけることに加え、信頼できるセキュリティソフトの利用や、不審な情報に注意するといった基本的な対策もしっかり行うことで、ご家族みんながより安心してインターネットを利用できるようになります。
インターネットを上手に活用するために、一歩ずつ安全対策を進めていきましょう。